【故事成语】逆鱗に触れる

安城市にある中国語教室「華夏中国語教室」の加藤です。
【逆鱗に触れる】という成語は誰もが聞いた事がある成語なのですが、この成語、いつ誰が書いたものかご存知ですか?
そして【逆鱗】って何かご存知でしょうか?

時は中国春秋時代、漫画「キングダム」の時代です。
韓の公子だった「韓非」という人物がいました。
韓非は始皇帝を支えた「李斯」と共に若い頃、荀子の元で学んでいます。
李斯は韓非の才能を早い段階で自分より上だと自覚していたそうです。
ところが韓非は【韓】で王に全く相手にされず、自分の考えを形に残そうと書いたのが『韓非子』です。

その『韓非子』を読んだ始皇帝はいたく気に入り、どうしても韓非に会いたかった始皇帝は戦を起こす訳なんですが、(会いたいからって戦を起こすなんて💦)今の時代では考えられないですよね。

念願叶って二人が面会し、厳格な法治主義を説く韓非が、始皇帝に一目置かれる存在になると、李斯は自分の立場が危うくなると考え、自害に追い込む訳です。
(李斯プライド高いな笑)

韓非子』に登場する成語の一つに【逆鱗に触れる】というのがあります。
逆鱗とは、触ると必ず殺される龍のアゴの下にある逆さに生えた鱗のこと
(もう怖い)
慣れると背中にも乗れるという温和な龍ですが、誤って逆鱗に触れてしまうと怒って殺されるそうです。

【原文】
夫龍之爲蟲也 柔可狎而騎也 然其喉下有逆鱗徑尺 若人有嬰之者 則必殺人 人主亦有 逆鱗 說者能無嬰人主之逆鱗 則幾矣。
【現代訳】
龍という生き物はおだやかな時は人になじんでその背にまたがることさえできます。ところが龍の喉元には1尺ほど鱗が逆さに生えたところがり、もしこれに触ったりすると殺されてしまいます。君主と言う存在もこれに似ていてやはり逆鱗があります。君主を説得しようとする者がもしこの逆鱗に触れずに済んだならば、その説得がうまくいくのはまもなくのことでしょう。


君主を龍に見立てた点、韓非様さすがです(笑
君主の心を掴むのが上手い!李斯も焦ってしまったんですかね。
だからって、牢に入れられるように仕組んだ上に毒を渡すなんてあんまりです💦

約2,300年前にはすでに「逆鱗」という言葉があり、私たちが使うような意味で使われていたと思うと感慨深いです。

逆鱗が龍のアゴの下にあるウロコだったとご存知でしたか?

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